パンツズレ?


 週末は雨続きという予報だったのが、朝テレビをみると1日曇りのよう。それなら、と少し前に話をしていた横浜の動物園「ズーラシア」へでかけよう、と急いで支度をして車に乗りこんだ。日本平動物園、富士サファリパークが定番だった我が家なので横浜まではちょっと遠い気もしたが高速で小一時間である。車の中で2人は、お菓子を食べたりお喋りをしたり、そのうち眠気が襲ってきたようだが興奮しているせいか寝付く様子もなかった。「ネエ、ドコ行クノ?」「すごい動物園だよ、ヨコハマにあるんだよ」「遠いトコロ?」「そう、ほんとは新幹線でいくところ、ズーラシア、っていうの」「ズーラシア?」「そう、難しい名前だねえ、ほら、マーチャンのパンツ、ズーラシア〜」なんてふざけながら、きゃっきゃっとさわいでいるうちにもう着いてしまった。
 広い園内、ジャングルを思わせるようにうっそうと茂る木々、でも手入れがきちんと行き届いており、ところどころ根本に置かれた寄せ植えもセンスがよく、つい目がいってしまう。子供たちも
「次はナニ?」の連続で、とことこよく歩いていく。動物を見ればただ喜んでいた子たちだったのに、白熊が1匹ひまそうに寝ているのをみて「ヒトリでかわいそう、ツマラナインダヨ・・・」とマーが訴えるように言ったので、ずいぶん見方も変わるもんだなあと母は感慨深くなった。
 この動物園の1番の売り、というか人気が「オカピ」である。濃い土色の体の後部分に、真っ白い縞模様が鮮やかで、日本に何頭もいないせいか、気高く貫禄十分の見ごたえだった。こんなに美しいコントラストも自然の作り出した妙か。
 市で経営しているので入園料も安く、ところどころに子供たちの遊具も置いてあり、1日楽しめる最高の動物園だった。もう少し近ければ文句なしなんだけど。
 帰りの車、お土産も買ってもらい大満足の二人はあっというまに寝てしまい、そのまま沼津まで。その夜、チーに「ねえ、今日、なんていう動物園行ったんだっけ?」と聞くと、「う〜んとね、う〜んとね」と必死に思い出そうとしていた。そして真面目な顔でポツリ「パンツズレ?」下手に茶化して教えるものではないと反省した母でありました。