ことばの獲得


 夜一度布団にはいったマーが、お気に入りのチワワのぬいぐるみがないことに気づいた。布団のまわりをさがしても見当たらない。「どこへおいたの?お布団のところへ持ってきたの?」本人もわからない様子。すると顔をあげて「ソウダ、テワケヨウ!」というので笑ってしまった。「それってどういうこと?」と聞くと、「チーチャンはあっちのオヘヤをサガシテ、ママはこっちのオヘヤをサガシテ、マーチャンはここをサガスってコト!」案の定そうだった、「手分けしてさがそう!」という意味だ。
 最近どこでそんなことばを覚えたんだろう?というような難しいことを言ってみたり、使ってみたりするので驚いてしまう。逆に、使い方のおかしい言葉もあって大笑い。8月になってようやく理解したみたいだが、オチビたちは2人揃って「蚊」のことを「蚊が」という生き物だと思っていた。部屋の中を蚊が飛び、近くに寄ってくるのを見つけると、ママもおばあちゃんもみんなが目で追いながら「あっ、蚊が・・・」と言うのだ。運悪く血を吸われている最中に見つけようものなら「あっ、蚊が!」と言うのと同時にピシャン!とたたかれるのだから、印象は強烈だったのかもしれない。知らない間にさされたらしいところを掻きながら、チーもマーも「ママ〜、カガにササレタ〜」「ママ〜、カガがとんでる〜」というのでおかしいやらあきれるやら。言語の獲得が周りの環境によるところが大きいと本当に実感した。
 「手分けよう」というマーの言葉のように、言葉の響きも意味もなんとなくわかっていて、自分流にこうだろう、と使ってみる子供の脳みそってすごい。そういえば姪がやはり3才ぐらいの時、どこか狭いところを通ろうとして「ハバさがセマイんだよね」といったのを聞いていて驚いた。
きっと「高さ」「低さ」「広さ」「深さ」という言葉と同列に考えて、「幅」のことをそう表現したのだろう。思わずうなってしまったっけ。
 ところで、言葉はわかっているのに舌がまわらずおかしな言い方になってしまうのがうちのチーちゃん。数々のヒットを飛ばし続けている。「テレビ」→なぜか早口に「テビレ」、「タケコプター」→「たけポクター」、「クーポン券」→「プーポンペン」、洗濯バサミを「せんたくワサビ」とまじめにいったときには大爆笑だった。かわいくておかしくて「もう一度言ってみて!」と繰り返し笑い転げる母に、いじけてすねるチーでありました。ごめんね。