運動会の思い出(4)

 クラクラしてきたのと同時に、知らないのにもほどがある、と自分の大それた計画に冷や汗が出てきたのでした。それは校長先生も同じだったんでしょうか、お父さんが帰られたあと「おい、Yasuko先生、お金を払わなくていいのかね〜?(払うお金なんてないぞ〜)」と冗談言う顔がちょっとひきつっていたようでしたもの。
 こうして、すばらしい助っ人にアドバイスをいただきながら、残り少ない日数の中、がんばって練習に励む子供たちなのでした。
 結果は?どしゃぶりの中で泥だらけになりながら、走りつづけた本番、神様は微笑んではくれませんでした。これで、大逆転があれば本当にドラマだったんですけどね。そうはうまく行かなかったんです。でも、神様は「走ること」についてすばらしい思い出をくださいました。休み時間や放課後、早くなりたい一心でみんなで走りまくったこと、それは「1位」になることと同じぐらい、強烈な思い出になったことでしょう。翌日、お父さんが短い手紙を下さいました。「世界チャンピオンになる人たちに共通していることは、たくさんの1位をとったことではありません。あの時、つらい練習をがんばりぬいたなあ、友達といっしょになって練習したなあ、という気持ちです。それを脳が記憶しているのです。」それは慰めと同時に、これからの子供たちに何をどう教えていったらよいのかを示唆して下さるような言葉でした。
 話はそれますが、それからもこのお父さんには「プラス思考」についてたびたび教えていただく機会があり、その原理と実践法は「目からウロコ」の連続でした。わたしは聞きかじった程度でしか言えませんが、もしこの「プラス思考」についてをわれわれ教師がもっと理解し、小さな子供たちに実践しながら接することができたとしたら、子供たちはどんなに変わるだろうかと思わずにはいられません。もちろん、子育て、そして「自分育て」においてでもです。時間に余裕ができた今、この「プラス思考」についてちょっと勉強してみようかな、と思っている自分です。