なみだのレッスン

 おチビたちのピアノレッスは順調に進んでいるが、鍵盤にさわる練習が多くなるほど課題もそれなりに難しくなって、家での練習は欠かせない。
 負けずぎらいの二人で困っている。最初はできなくて当たり前。間違えて間違えて、それでも繰り返し練習してうまくなっていくのに、「間違えること」が嫌いなのであります。チーは、わたしが横にいて「そうじゃない、こうだ」といい始めると、「ママ、あっちイッテ!チーチャン、ひとりでデキルから」と怖い顔をして言う。しかたなく部屋を出て、入り口で隠れて聞いているとポロンピロンと頼りない音が聞こえてくる。言うだけのことはあってかなり粘ってくり返し練習するので、「やつめ、なかなかやりおるわい」と感心したりして。トン!とイスから降りる音がするので急いであとずさりをし、何事もなかったような顔をして天井なんかを眺めていると「ママ、デキタ」と呼びにくるのであります。「わあ、すごい!ひけるようになったんだ」とほめちぎると「アハハ」とうれしそうな顔。チーは弱みを見せたくない性格なんだ、と改めて実感。
 マーはというと、大泣きさせてしまいました。だってうまくひけないとすぐやめてしまうんだもの。「なんども練習してうまくなるの!間違えてもいいの、そこを練習するんだから」と母もだんだんテンションが上がって・・やがて「そんなにいやならやめてしまいなさい、チーチャンだけやればいい」と爆発、ドカ〜ン!そういいつつ(「うん、ヤメル」と言われたらどうしよう)とちょっとヒヤヒヤしている母に、しゃくりあげながら「ううっつ、や、っ、や、めっ、な、いっ」と答えるマーがいじらしく、「おおあっぱれ!」とほめたくなったりして。マーチャン、オマエのためなら母は鬼になろう。我が子を谷へ突き落とす勝手な母でございます。
 こうして叱咤激怒、じゃなくて叱咤激励のもとどうにかがんばっているおチビたちでありますが、先はまだまだ長い。これからどうなっていくのだろうか。
 ちなみに、マーは左利きなのでやはり左手がうまい。チーは右利きだから右がうまい。それを聞いた主人が「うまい方の手を組み合わせて弾かせるか〜」などとふざけるもんで、「じゃあ、残った下手どうしの手はどうなるんじゃ」と。のんきなパパであります。

 もう一つ、なんとわたしも再びピアノを習うことにしましたの。月2回のレッスンでオチビたちの先生に。昔使った教本を引っ張り出してきましたよ。今となっては凍結状態の指なので基礎に立ち返り、ツェルニー40番を最初から。そして懐かしくショパンマズルカを。ところがこれが指がもつれて優雅にひけず悪戦苦闘。でもおチビたちに偉そうなことを言っている手前、練習、練習あるのみ。とりあえずの目標は「別れの曲」か「軍隊ポロネーズ」ってとこかな?