いろいろ、ごめんね

 11月になって初めての出勤。今日と明日の午前まで2日にわたっての出勤であります。講師の仕事も今日明日、そして来週、年があけて2月に1回、ということで残り少なくなってきた。あっという間にこの1年も過ぎそうだとしみじみ思う。
 学校へいくと相変わらずやんちゃな子供たち。でもわたしが来るのも残り少ないとわかってか、いつもよりシャンとしようとがんばる男子もいてかわいい、かわいい。昼休み、ほとんどの子が外へ遊びに行く中で、一昨年、昨年と受け持った女の子がしばらく机の傍を離れず、わたしが書き取り帳に丸つけしたり、赤ペンで言葉を書いたりするのをじっとみていた。雑に書かれた書き取り帳の字を見ながら「こんな雑に書いて・・・わたしだったらやり直しさせるな」なんてぶつぶつ言っていると「先生、やめなけばよかったのに…。どうしてやめちゃったの」とわたしの目をのぞきこむように言った。「うふふ、しょうがないよねえ」と笑い返すと、外へ出ていってしまった。ごめんね…あやまることでもないのに、何だかそんな気分になった。いいのか、悪いのか、子供たちにとって持ちあがりの2年間というのはかなり大きな時間だったんだろう。それが初めての小学校生活からとなると、小さいながらに思い出すこともいろいろあるんだろうか。何だか妙にしんみりとしてしまった。
 この時期になって、短期間の講師の仕事はどうか、といわれることもある。そのたびにお断りしているのだが、不思議なことに教壇に再び立ちたい、という気持ちがないのだ。講師が見つからない分、先生方の負担が大きいだろうな、もしわたしが出来れば…という気持ちが自分をつらくさせることはあっても、今、もう一度子供たちと過ごしたい、という気持ちにはなれない。あんなに好きな仕事だったのにね。今、母として家にいることの生活が充実しているからなのかな。時間がもっともっとほしい、という気持ちは教師をしていたころとは変わらないんだけれど、心にゆとりがあることが何よりも幸せなのかもしれない。
 いろいろ、ごめんね。でも、今しばらくはこの生活を変えたくないんだ、と思うわたしであります。