不登園?


 週明けから二人とも鼻水や咳がひどく、園を休んでいた。昨日、ようやくマーが登園、毎日家にいるのに飽きたようでうれしそうに制服に着替え、チーが休むことに何の違和感もないようにいそいそとバスに乗っていってしまった。
 そして今日。チーもこれなら行けるだろうと朝ご飯を食べさせていると、あそこが痛いだ、ココが痛いだ、と泣きそうな顔で訴える。1週間近く母と過ごしてきたから久しぶりの登園は気乗りしないようだ。甘えているな…。「じゃあ、給食食べないで帰って来ようか、ママがお迎えしてあげるから」「イヤ、チーチャン、オヤスミスル」「だって、もう元気になったじゃん。行けるよ!」
「イヤ、オハナガデルモン」「まーちゃんが一人じゃさびしいって」「チーチャン、イカナイ」いろいろと言ってみるけれど、頑としてきかない。そのうちマーまでが「チーチャン、イイナ〜、オヤスミするの?」なんて言い始めたので、イライラはつのって爆発寸前。でも気を取りなおして、そうだ!「あ〜、きっとサンタさん、お空から見ているよ〜、チーチャンはイイ子にしているかな、がんばっているかな〜って。マーチャンはクリスマスにプレゼントもらえるかも知れないけど、チーチャンにはくれないかもね」どうだ!?するとあっさり「チーチャン、プレゼントイラナイ」それどころか、なぜかこちらで泣く者約一名、なんであんたが泣くの?「ううっ、チーチャン、プレ、ゼント、も、もらえる、もん、サンタさん、ワルイコにも、くれるって、ご本にカイテあったもん、うっく(しゃくりあげる)…」お人よしなマーに飽きれながら(ご本に書いてあった?)と思い返すとああ、ああ、あれねとわかりました。「中川ひろたかさん」ですよ。あの人がこう書いていたの。

クリスマス。
サンタさんがくるひ。
いいこにしてると、くるっていうひ。
でも、わるいこしてても、きてくれてたな。
サンタさんは、すばらしい。
そのひだけでも「いいこにしますから」って
いったのをちゃんと、きいててくれるんだ。
すごーく、こころがひろいんだね。

この本を2週間ぐらい前に読んであげていたんだった。その時は何にもいわなかったけれど、オチビたちは「悪い子しててもきてくれる」っていう言葉に驚きを感じ「えっ?そうなんだ、そうだったんだ〜」と救いの光を見つけたんだろうね。だって何を隠そう、この母もこの季節が近づくとと「イイ子にしてたらサンタさんが…」と言い続けてきたからねえ。中川さんの一言は、目からウロコだったのかも知れない。
 そんなことを思い出し、そうか〜、などと感心しながら、はっと我に返る。収拾がつかない事態になっている。とうとう爆発!「そんなに行きたくないなら、二人とも休みなさい!そのかわり、一日中、お布団から出てはいけませ〜んっ」怒鳴り声におびえたマーが「マーチャン、イキマス、イキタイ」と即答。でももう一人は…自ら布団に出向き、ごそごそと入っております。参りました…。チーのことはあきらめて、マーの支度を始め、二人で玄関を出た。バスを見送って玄関に戻るとおお、泣いてる泣いてるよ。話を聞いたばあばもやってきて「幼稚園行こうよ」と声をかけるもあえなく撃沈。あきらめて帰っていきました。しかたなく一緒に布団に入り、トントン背中をたたきながら最後に一言「じゃあさ、制服着ないで、遊び着になって園へいって、給食の前にそのまま帰ってきちゃえば。ママがお迎えに行くから」…すると、「ウン」というではあ〜りませんか。そして布団から飛び出すと、服を持ち出して着替えようとしているの。キツネにつままれた?母も急いで支度をし、チーの小さな手をひっぱって一緒に園へむかって歩き始めたのでした。
 こうして、チーは久しぶりの登園を決行したのでありました。朝からどっと疲れ、母は少し昼寝をしました。めでたし、めでたし。