負けずぎらい

 冬休み前、園からのクリスマスプレゼントは縄とびの「なわ」でした。手紙がついていて、3学期に縄とび運動をやるから冬休みに練習をしておいてほしい、とのこと。年少さんは「連続とび」ができるようになることが目標だそうです。
 冬休みは寒い日が続いたけれど、少しずつ練習をしました。でも2人にとって生まれて初めての縄とび、その格好がおかしくておかしくて思わずビデオに撮ってしまいました。だいたい縄を上手に回すことができないから跳ぶなんて無理無理。どうにか縄が前に来るようになったんだけど、後ろから勢いよく振りかざすものだから、もうムチのようにとんできて怖いのなんの、もちろん跳べません。で、そのまま静止…その後、勢いを失って死んだ蛇のように横たわった縄を見ながら、ピョン!と跳ぶわけであります。おまけに、チーは両足着地で跳ぶことができず、駆け足みたいになっているの。小学校1年生の縄とび運動の様子は知っていたけれど、縄跳び超初心者の実態はここまでひどいのか、とあきれるやら、おかしいやら。
 でもね、繰り返しの練習の成果は少しずつ表れて、前にきた縄を見てすばやく跳べるようになってきたんです。それを何回かとぎれとぎれだけれど、繰り返すこともできるようになった。
 ところで、幼稚園で年少さんの目標になっているのは「1回旋2跳躍」のことなのよね。次の縄がくる間に一回跳ねる跳び方なのです。途切れ途切れの跳び方からどうやって進歩させようかと、思っていると、ヘラヘラ跳んでいたチーがなんと、出来ちゃっている!?「うそだ、まぐれだ」と思っていると、次の日、幼稚園の検定で2回でき、クラスで1番乗りの「合格」だって。帰ってくるなりチーがうれしそうに報告、マーも「チーチャン、すごかったんだよ」とほめるので、こっちがあっけにとられていました。
 夕方ばあばが来たので、母は得意になって「ねえ、チーがね、クラスで最初に連続跳びができてみんなの前でほめられたんだって。大きいシールもらったんだって」と興奮ぎみに言うと、「うえ〜ん」と突然マーが泣き出した!あらららら…気づきました。マーは本当はとっても悔しくてつらかったんだ。なんと思いやりのないことをする母でしょう。「大丈夫、マーチャンもできるようになるよ」と慰めながら、こりゃ、本当に早く跳べるようにしてあげないとかわいそうだ、と思ったわけであります。そして「プロジェクトX〜白い縄のむこうに見えた光〜」(うーん、かっこいい)が始まったのでございます。
 さて、肝心なのは、トントン、トントン、という跳躍のリズムを体得することだと思うのね。前日「1回旋3跳躍」という変な?跳び方に進歩していたマーですけど、2拍子にしなければならない。そこでその猛特訓をいたしました。方法は…内緒です。で、15分もするとすっかりそのリズムに慣れました。それで縄をわたすと、なんともう跳べちゃったの。すごい!これってYasukoマジック?本人もうれしくなって、跳ぶわ跳ぶわ、縄の回し方が下手なのでまだまだうまく跳べないのですが、それでもコツはしっかり身についたようです。「もうやめな」と言っても止まらない。汗で髪の毛をべたべたにさせ、着ているものを1枚ずつ脱ぎまくり、あやうくスッポンポンになるところでした。あ〜良かった!
 2人の子が揃って出来るようになることが、母は何よりの幸せなのです。そういえば、2人が赤ちゃんの頃、マーが先にハイハイをし始めたのに、チーは一向にできない。赤ちゃんだから特訓するなんて気もなかったけれど、差があることに何だかとても神経質になってしまった。親心なのかな。1、2ヶ月してから、買い物を終えて家にもどると、留守番をしてくれていたばあばが「チーチャンがハイハイしたよ!」と。本当に小さな体をズリバイで動かしていくチーを見て、わあわあ泣いてしまった母でした。
 「双子」、身内でありながらもっとも近くにいるライバルとなるこの関係。これからも双子であるがゆえのたくさんの試練が待っているんだろうなあ。うまくいかないことも出てくるんだろうなあ…。母はどうやって見守っていくんだろう。この先の楽しみと不安とが入り混じって感じられた縄とび騒動記でありました。