パールくんが家の子になるまで物語 その2

リキを火葬場につれて行きました。お骨になるのに1時間かかると聞いて、ペット霊園の中を歩きました。色とりどりの花たちに囲まれてたくさんのお墓がありました。「ねえ、ママこれ見て!」犬の写真を飾ってあるお墓、お気に入りだったおもちゃをおいてあるお墓、もう何匹も虹の橋へと送ったのでしょう、愛犬の名前が連ねて書かれているお墓・・・たくさんのお墓を見て回るうちに、リキのように本当に愛して愛されて時間を過ごしてきた犬たちがいるんだな、と慰められるような気がします。双子は初めて見るペット霊園のようすにちょっと興奮気味なのか、はしゃいでいるように見えました。
 あっという間に、リキは白い骨になっていました。係の人が骨を拾いながら「これは肩の骨、これはのど仏、ほら、これが牙ですよ。」などと説明をしてくれました。母は骨壺をお寺に納める気になれず、リキを家にまた連れて帰りました。
 帰りの車の中でも涙一つ見せずにいる双子、(こんなものなのかなあ)と拍子抜けしていたら、家に着きこたつにもぐるなり、うわんうわんと大声で泣き始めました。「リキが死んじゃったぁ、リキが死んじゃったぁ」と。なあんだ、我慢していたのか。「ほんとうにねえ、こんな日が来ちゃったんだねえ」子どもの純粋な叫びに答えるようにみんなが一緒に泣きました。初めて間近で看取った愛する者の死。リキが最後に毛も形も残らない白い骨になってしまったことにただただびっくりで、あっけにとられていたのでしょう。沈んだ雰囲気の中で、「わからないことを今聞いてはいけないのだ」と思って2人とも明るくふるまっていたのかもしれません。